日本物理学会大阪支部 2017年度 公開シンポジウム
「量子力学 90年」
日時:2017年12月23日(土・祝)12:50-16:05(12:00より受付)
会場:大阪大学中之島センター(10階)佐治敬三メモリアルホール
参加費:無料
対象:主として高校生等や一般の方
定員:190名
主催:日本物理学会大阪支部
後援:日本物理教育学会近畿支部、大阪府教育委員会、兵庫県教育委員会、和歌山県教育委員会、大阪市教育委員会
<シンポジウム企画趣旨>
1926年シュレーディンガーの波動方程式、1927年ハイゼンベルクの不確定性原理、1927年第5回ソルベー会議(電子と光子)より90年を経て、量子力学により我々が受けた恩恵を総括し、今後の夢を語る。
プログラム
12:00-12:50 受付
12:50-13:00 開会挨拶 小口 多美夫(日本物理学会大阪支部長・大阪大学)
13:00-13:40 「物性物理とトポロジー」越野 幹人 先生(大阪大学・理学研究科)
近年、物質科学においてトポロジーの役割が非常に重要になっている。トポロジーとは、「コーヒカップとドーナツが同一視される」という例でよく知られる数学の一分野である。物質の物理学とはおよそかけ離れた抽象的な世界のようにも思えるが、実は物質の量子的状態を記述するのにトポロジーの概念が本質的な役割を果たすことがわかってきた。例えば、量子ホール効果はホール伝導度という物理量がある自然定数の整数倍にほぼ正確に量子化されるという現象であるが、この整数は波動関数の持つある種の「巻きつき数」として解釈される。この講演では様々な例を通して物質に潜むトポロジーの概念を紹介する。
13:40-14:20 「素粒子の質量生成の謎に迫るヒッグス粒子」丸 信人 先生(大阪市立大学・理学研究科)
素粒子標準理論における唯一の未発見粒子であったヒッグス粒子はおよそ50年前に予言され、2012年7月欧州合同原子核研究機構の大型加速器によって、ようやく発見されました。 提唱者であるヒッグス、アングレール両博士には2013年ノーベル物理学賞が授与されました。ヒッグス粒子は、素粒子に質量を与えると言われますが、それはどういう意味なのでしょうか?質量生成は、素粒子標準理論が持つ対称性と密接に関係し、私たちの存在そのものにもかかわってきます。講演では、ヒッグス粒子が果たす役割、発見の経緯について分かりやすく解説します。
14:20-14:40 休憩
14:40-15:20 「超ひも理論と量子力学の宿題」橋本 幸士 先生(大阪大学・理学研究科)
量子力学とアインシュタインの一般相対性理論は、 20世紀に発見された物理学の金字塔です。しかし、残念なことに、この二つの理論体系は、数学的に合体させようとすると矛盾を生んでしまいます。この問題は、20世紀の物理学の宿題、と言えるでしょう。統一された枠組みは「量子重力理論」と呼ばれ、古くから研究の対象となっています。この講演では、超ひも理論と呼ばれる、素粒子が小さなひもであるという仮説を元に、量子重力理論の建設が進んでいることをお伝えします。
15:20-16:00 「アインシュタインは量子力学の何に反対したのか?」佐藤 文隆 先生(京都大学名誉教授・元 甲南大学教授)
1925年から1927年にかけて、ハイゼンベルクの行列力学、シュレーデインガーの波動力学が提案され、ディラックは両者の数理的関係を明らかにしたが、その物理的解釈を巡って混乱があり、ボーアらはコペンハーゲン解釈を1927年に提案した。このとき、ボーアと並ぶ前期量子論の推進者であったアインシュタインはこれに異議を唱えた。この不安な旅立ちにも拘らず量子力学は固体電子・光子や原子・核素粒子で大成功を納めている。アインシュタインの「異議」は的外れであったのだろうか?いったい彼は何に反対したのであろうか?
16:00-16:05 閉会挨拶
会場へのアクセス
大阪大学中之島センターのページをご覧下さい。
事前参加申込み
インターネットでの事前参加申込みは締め切らせていただきました。
実行委員会
委員長:小口多美夫(大阪大学)
委員:荻尾彰一(大阪市立大学)、花咲徳亮(大阪大学)、細越裕子(大阪府立大学)、山崎篤志(甲南大学)
お問い合わせ先(事務局)
〒658-8501 神戸市東灘区岡本8-9-1
甲南大学 理工学部
担当者:山崎篤志
電話:078-435-2473
FAX:078-435-2473
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