日時 :2024年11月16日(土)13:00-16:50
会場 : 大阪大学豊中キャンパス 大阪大学会館 講堂 会場へのアクセス
参加費 :無料(定員200名に達した場合には,開催日前に申し込みを終了する場合があります。)
対象 :主として高校生等や一般の方
※年齢制限はありません。奮ってご参加ください。
申込 :下記の「お申込みフォーム」からお申込みください。
参加ご希望の方は必ず事前申し込みを行ってください。
主催 :日本物理学会大阪支部
後援 :日本物理教育学会近畿支部、兵庫県教育委員会、大阪府教育委員会、和歌山県教育委員会、大阪市教育委員会
お申込みフォーム

参加お申し込みをされた方へ:参加証の送付や確認のご連絡をすることはございません。当日、直接受付にお越しください。

趣旨

最近、「量子ビーム」という言葉を聞く機会が増えてきました。物理学の中心的な理論の一つである「量子力学」が関係しているのは明らかですが、どんな研究が行われているのでしょうか。また、どんな応用があるのでしょうか。先端研究で未来を切り拓く取り組みを行っておられる4名の先生方から、基礎から最先端や応用までをわかりやすくご紹介いただきます。大型施設を使った研究の様子も感じていただけると思います。

プログラム

開会挨拶
13:00-13:05 芦田 昌明(日本物理学会大阪支部長)
講演
13:05-13:55 量子少数多体系、ハドロン、原子核:不思議の解明から未来技術へ 中野 貴志 先生 大阪大学 核物理研究センター センター長 (原子核物理学)
2013年からセンター長を務める。専門は原子核物理学だが、難治性がん新たな治療法として期待が集まるアルファ線核医学治療の開発や超スマート社会の安全・安心を支える宇宙線起源ソフトエラーの評価等の産学連携による異分野融合研究にも取り組む。
「量子少数多体系」「ハドロン」「原子核」をキーワードに物理学の神秘に迫ります。まず、量子力学に従う粒子集団の興味深い性質を解説し、次にクォークから成るハドロンの世界を探求します。さらに、原子核の安定性の源について考察を深めます。これらの基礎知識を踏まえ、加速器で人工的に生成された不安定な粒子が私たちの生活や先端技術にどのように応用されているか、具体例を交えて紹介します。
13:55-14:45 始動 3GeV高輝度放射光施設NanoTerasu 安居院 あかね 先生 量子科学技術研究開発機構 上席研究員 (放射光科学、光物性物理学)
1993年お茶の水女子大学大学院修士課程修了。1996年東京大学大学院博士課程修了。スウェーデン・ウプサラ大学をポスドク、1999年特殊法人日本原子力研究所を経て、2016年より国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構上席研究員。2018年よりNanoTerasu整備開発に従事。著書「光物性学原論」 (丸善出版、共著)ほか。一家に1枚シリーズ「量子ビーム」 (文部科学省、2018年)監修。
放射光は自然界にも存在しますが、我々が特に断らずに放射光といったときは電子を光速近くで加速して発生させた光を指します。真空紫外線~硬X線の幅広いエネルギー帯で高輝度の光を得られることから、放射光施設ではそれを利用し様々な研究を行うことができます。本年4月に日本で(世界でも)一番新しい放射光施設NanoTerasu(ナノテラス)が運用を開始しました。この講演では、NanoTerasuの概要、建設の様子、これから期待される成果などについて紹介します。
14:45-15:05 休憩
15:05-15:55 巨大加速器を使った素粒子実験:"ミニ宇宙"をつくる・探る 岩崎 昌子 先生 大阪公立大学 理学研究科 教授・大阪大学RCNP特任教授 (高エネルギー物理学)
1996年、奈良女子大学大学院で学位取得後渡米、スタンフォード線形加速器センター、オレゴン大学博士研究員として加速器実験に参画。2002年に帰国し、東京大学、高エネルギー加速器研究機構、大阪市立大学、大阪公立大学で大型加速器実験による素粒子物理学の研究に従事。近年は大阪大学RCNP、IDS(招へい教授)、東京大学ICEPP(客員教授)において、加速器実験への機械学習の導入研究を進めている。
素粒子物理学は、宇宙を構成する最も小さな要素である素粒子を研究し、宇宙の成り立ちや、物質と反物質の非対称性、といった謎に迫る学問です。わたしたちは、数kmもの巨大加速器を使って、宇宙誕生直後の高エネルギー状態を再現し、素粒子を生成し、その謎を解き明かそうとしています。そのために、AIや機械学習を使って、より精緻な加速器制御や実験データ解析を目指しています。これらの取り組みについて、紹介します。
15:55-16:45 パワーレーザーの革新と変革:レーザーフュージョンエネルギー実現に向けて 兒玉 了祐 先生 大阪大学 工学研究科 教授・レーザー科学研究所 所長(プラズマ科学・レーザー科学)
1990年、大阪大学大学院工学研究科にて学位取得。英国オックスフォード大学クラレンドン研究所研究員、大阪大学レーザー核融合研究センター助手、助教授を経て同大学工学研究科教、大学レーザー科学研究所長兼任、現在に至る。これまで、パワーレーザー開発とともにレーザー核融合などエネルギー密度の高い極限状態の科学に関する研究に従事。米国、英国など国内外の学会・財団などから多数受賞するとともに紫綬褒章を受章。
パワーレーザー技術の進展は、大型施設に限らず様々な分野に波及しています。レーザー加工やプロセスなどの産業応用、超小型レーザー加速器やレーザー核融合といった未来の技術開発、さらに惑星科学や宇宙物理学などの極限環境下での学術的探求を含む高エネルギー密度状態の極限科学など、幅広い分野においてパワーレーザーの有効性が見出されています。特に社会的インパクトの大きい核融合研究においては、米国の超大型レーザー施設によって、人類史上初めて核融合の点火燃焼が実証され、大きなブレークスルーが達成されました。ここでは、パワーレーザーとその応用、特にレーザー核融合の進展について紹介します。
閉会挨拶
16:45~16:50 市田 正夫(日本物理学会大阪支部 幹事)

実行委員会

委員長
芦田 昌明(大阪大学)
委員
箱嶋 秀昭(大阪大学)、古野 達也(大阪大学)、安齋 太陽(大阪公立大学)、市田 正夫(甲南大学)